一を足していく。

AIの影響で将来なくなる仕事だと言われている税理士。そんな税理士の魅力発信と税金への理解を深めていただけるように今日も一を足していきます!

ソフトバンクGの修正申告はなんだったのか

今日も一を足してく!

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先日、ソフトバンクGが修正申告したという以下の記事が出ておりました。

内容を抜粋すると以下の通り。

SBGは16年にアーム社を約3.3兆円で買収。18年3月期にアーム株の一部を「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)に現物出資の形で移管した。 SBGは18年3月期の税務申告で、SVFへの一部移管に伴ってアーム株の取得価格と時価評価額の差額分などで2兆円超の税務上の欠損金が発生したとしていた。 東京国税局はこのうち約4千億円について18年3月期には計上できず申告漏れに当たるとし、SBGは修正申告した。19年3月期の欠損金として処理するとみられる。

これを見てもピンときませんでした…

「なんで現物出資で期ずれっていう話になるのか…」

18年3月期には計上できずに19年3月期に処理するということはいわゆる「期ずれ」ということになります。

期ずれとは、法人税法上の益金や損金の計上時期が異なっている、ということです。 わかりやすい例でいうと、18年3月期の売上を18年3月期ではなく、19年3月期に計上しているようなケースです。 通算してみると金額に変わりはありませんが、税務署は細かく指摘してきます。

現物出資とは?

次に「現物出資」についてです。 一般的には、「出資」というと現金などの金銭で行います。 しかし、金銭以外の土地や有価証券などの資産を出資することができます。

今回のケースだとアーム社の株式をSVFに出資した、ということになります。

この現物出資の税務上の取り扱いは様々な要件によって異なりますが、ざっくり言うと以下の分類と取扱いになります。

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ソフトバンクGのIRを見るとSVFへの出資割合は33.6%のようなので確かに非適格現物出資なんだと思います。 なので、アーム株を時価で譲渡したものとして譲渡損が計上されて、結果的に欠損金が生じるのはわかります。

だからこそ、なんで期ずれなの? 2回に分けて現物出資を行っており、1回目は18年3月、2回目は19年3月期に行ったということでしょうか。

税務上の規定では、現物出資にかかるもので期ずれになるようなものは思い浮かびません…

詳細はソフトバンクGからの開示を待つとしましょう~

ソフトバンクGの税負担

よくソフトバンクGの税負担が低くておかしい!という声を聞きます。 ちょっと19年3月期のソフトバンクGの有報を見てみましょう。

税引前当期純利益:1,980,425百万円 法人税、住民税及び事業税:5百万円

これだけ見ると税負担はほぼほぼないですね笑

しかし、よくよく見てみますと「関係会社受取配当金:2,069,783百万円」とあります。 つまり、税引前当期純利益のほとんどが関係会社受取配当金で構成されています。

実は法人税法上は、100%支配関係がある法人からの配当金は益金の額に算入されないので、所得にならないのです! 100%の支配関係でも配当金の一部が益金の額に算入されません。

これは、法人税の二重課税を排除するためです。 子会社が稼いだ利益に対して法人税が課されます。 その子会社からの配当金にも法人税が課されると二重課税になりますよね。 そのために配当金を益金の額に算入しない制度があるのです。 これを「受取配当等の益金不算入」といいます。

したがって、ソフトバンクGのような持株会社は所得が低くなる傾向にあります。

会計上の利益と税務上の所得は異なるので、財務諸表だけ見ると税負担が著しく低く見えるのです。 また、財務諸表は開示されますが、確定申告書は開示されないので詳細は謎に包まれたままですね。

税金については、会計上の数字を基礎としつつ税務上の論点も考慮する必要があります。 有報だけで判断しないようにしましょう。

それでは、読んでいただきありがとうございました。

全損型「節税保険」に遂にメスが!

みなさん、こんにちは。

今日も一を足してく!

 

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はじめに

 

昨年の6月ごろから下記のような報道がありました。

内容は、法人向け定期保険、いわゆる「節税保険」の実態調査を行う、というもの。

この「節税保険」とは、支払った保険料の全額が損金算入され、かつ、高い解約返戻率を特徴とする法人向けの定期保険のこと。

「節税保険」の販売が過熱してきたことで、金融庁国税庁が問題視し、このような調査に発展しました。

 

www.asahi.com

 

調査の結果を受け、国税庁は「節税保険」の取扱いについて、下記の法人税基本通達の改正案を公表しました。

 

http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000186086


この改正案では、最高解約返戻率にフォーカスして損金算入額を制限しており、最高解約返戻率が50%を超える定期保険等について制限の対象とされています。

 

「節税保険」のなにが問題?

 

「節税保険」の問題点は、ズバリ「将来お金が返ってくるのに、その積立を損金算入して、税金を安くできる。」ことにあります。

 

基本的に、法人向け定期保険の保険料は、その全額を損金算入することができます。

これは、法人向け定期保険は、保険金を受け取ることができる一定期間を過ぎれば、なにも返ってこなくなるため、掛捨ての保険といえるためです。

 

しかし、最近の法人向け定期保険や、がん保険などの第三分野保険については、様々な問題から保険料の全額を損金算入すると、税金計算上の問題が生じることから、一部しか損金算入できない、という国税庁からの規制があるものもあります。

 

最近、販売が過熱していた「節税保険」は、支払った保険料のほとんどを解約返戻金として受け取ることができる高い解約返戻率を誇りながらも、国税庁からの規制の対象となる保険に該当しないように商品設計されているため、その支払った保険料の全額が損金算入できるというものです。

 

こんな「抜け穴」を突くような保険を保険会社が「節税」のために販売することに疑いを隠せないです…

巷でも販売当初より国税庁の規制がかかるのは時間の問題と言われてきました。

 

当たり前ですが…

 

これまでも、保険会社が、国税庁の規制の対象とならない、支払った保険料の全額を損金算入することができる保険を開発すれば、それをまた国税庁が規制する、という「イタチごっこ」が続いていました。

 

なにが問題かというと、本来の目的を逸脱すること、かと思います。

保険は本来、「相互扶助」を目的とするためのものです。

保険会社も経営が厳しいのはわかりますが、社会全体のためになる保険を開発して、販売してほしいものです。

 

 


今回の改正案は?

改正案のポイント

 

今回の改正案のポイントは以下の4点です。

 

  1. 最高解約返戻率によって損金算入額が変わること
  2. 最高解約返戻率が85%超の場合には、より損金算入が制限されること
  3. 資産計上した金額は一定の据え置き期間経過後でないと取り崩して損金算入
    できないこと
  4. すでに締結済みの保険契約についてはさかのぼって適用されないこと

 

対象となる保険契約

 

以下の定期保険又は第三分野保険がん保険など)が今回の改正案の対象となります。

 

法人が、自己を契約者及び受取人とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含
みます。)を被保険者とするもので以下の要件を満たすもの

 

  1. 保険期間が3年以上のもの
  2. 最高解約返戻率が50%を超えるもの

 

ただし、最高解約返戻率が70%以下で、かつ、被保険者一人当たりの年換算保
険料相当額(支払保険料総額÷保険期間の年数)が20万円以下のものについて
は、これまで通り全損とします。

 

改正案の具体的な内容

 

最高解約返戻率に応じ、表中の3つに区分して資産計上期間、資産計上額及び取崩期間が明らかにされています。

資産計上期間においては支払った保険料の額のうち資産計上額を除いた金額を損金算入し、取崩期間においてその資産計上額を均等に損金算入していくこととなります。

 

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改正案の適用時期

 

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今回の改正については、改正通達の発遣日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険について適用されます。
改正通達の発遣日は早くても本年6月以降となる見込みです。
つまり、すでに契約済みの定期保険等の保険料については、これまでの取扱いにより、損金算入されます。

 

「節税保険」って実際どうなの?

 

これまで、いわゆる「節税保険」の改正案について内容をお伝えいたしましたが、個人的には「節税保険」はそんなに意味ないのかなと思っています。

 

その理由は以下の2つです。

 

  1. 保険料の支払いから解約返戻金の受取りまでの期間を通算してみると税金の支払額は変わらず、いわゆる「課税の繰延べ」でしかないこと
  2. 解約返戻金の受け取りより、保険料の支払いが先行することでキャッシュフローが悪化すること

 

1.について補足ですが、「課税の繰延べ」とは、「税金をいつ払うか問題」ということ。

要するに、税金の支払いを後伸ばしにできる、ということです。

資金繰りや、ファイナンス思考からは、確かに有利ですが、積極的にやるようなことではない気がします。

 

また、保険会社のセールストークでは、よく解約返戻金の受取りによる収入と退職金の支払いによる費用とが相殺されることで課税所得が生じないため節税効果があると説明されます。

 

保険料の支払い時には、税金を少なくできるし、解約返戻金の受け取り時にも、税金は増えませんよー、ということです。


しかし、解約返戻金の受取りがあってもなくても、退職金の支払いによる費用が課税所得を少なくする効果はあるため、本来の「課税の繰延べ」であるという本質に変わりはありません。

 

「節税保険」をうまく活用するためには、このような理由から、綿密なタックスプランニングとキャッシュフローの計画が必須となります。

 

また、前にも言った通り、保険は「節税」のためにあるのではありません。

当たり前ですが、保険を選ぶ際には、残されたご家族のため、万が一のため、という「本来の目的」を思い出すことが大事だと思います。

 

おわりに

 

世の中には、「節税」を謳う商品で溢れています。

たしかに、税金の支払いを少なくすることは節約になりますので、積極的に行っていいことだと思います。

しかし、本来の目的や他への影響もしっかりと考慮して、目先の「節税」だけに走らないでください。

しっかり稼いで、しっかり税金を払って、社会に貢献することが一番なのですから!

 

それでは、読んでいただきありがとうございました!

 

令和元年~三種の神器の課税関係~

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みなさん、こんにちは。

今日も一を足してく!

 

さて、昨日平成最後のブログ更新をしようと思いつつできなかったので、本日は令和最初のブログ更新といきます。

 

いや~、新元号

「令和」

になりましたね!

 

本日5月1日に天皇陛下が即位されました。

今後は天皇陛下は「剣璽等承継の儀」と「即位後朝見の儀」に臨まれます

 

この「剣璽等承継の儀」では、かの有名な三種の神器のうち、剣(=草薙剣(くさなぎのつるぎ))と璽(=八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま))が皇位とともに皇嗣が承継されます。

 

この記事では税金についてフォーカスしてこの三種に神器の課税関係を見ていきます!

平成から令和への改元という一大イベントを税金という観点からみているのはごく少数ではないでしょうか?(笑)

 

 

三種の神器の課税関係の原則

先ほど述べたように、三種の神器皇位継承とともに天皇から皇嗣に継承されます。
天皇が崩じると、三種の神器も相続又は遺贈という形で継承されるはずです。
この場合にも、相続又は遺贈により財産を取得したことになるので、相続税が課されます。
しかし、社会的な観点からもこのようなありがたい儀式に相続税が課されるとなると、興ざめですよね…
おそらく、このような趣旨から、実は相続税法においても非課税規定が設けられています。
 

相続税法第12条  相続税の非課税財産

次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。

 

 

この「皇位に伴う由緒ある物」とは、もちろん「三種の神器」のことです。

したがって、相続税が課される三種の神器」については、相続税の課税価格に算入されず、相続税が課されないわけです。

 

では、今回のように天皇生前退位され、相続又は遺贈ではなく贈与により「三種の神器」が承継される場合にはどうなるのでしょうか。

贈与により取得した場合には相続税ではなく、贈与税が課されます。

 

相続税の非課税財産」の規定と同じように「贈与税の非課税財産」の規定にも同じように「三種の神器」を非課税とする規定があると思いますよね?

 

それでは、その「贈与税の非課税財産」の規定を見てみましょう。

 

相続税法第21条の3  贈与税の非課税財産

次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。

 

  • 一 法人からの贈与により取得した財産 
  • 二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの
  • 三 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが贈与により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
  • 四 所得税法第78条第3項寄附金控除に規定する特定公益信託以下この号において「特定公益信託」という。で学術に関する顕著な貢献を表彰するものとして、若しくは顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして財務大臣の指定するものから交付される金品で財務大臣の指定するもの又は学生若しくは生徒に対する学資の支給を行うことを目的とする特定公益信託から交付される金品
  • 五 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利
  • 六 公職選挙法昭和25年法律第100号の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で同法第189条選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出の規定による報告がなされたもの

 

なんと、この「贈与税の非課税財産」の規定には「三種の神器」を非課税とする規定は書いてありません!

果たして、今回の場合だと贈与税が課されてしまうのでしょうか!?

 

生前退位の場合の特例

この記事を見ながら「天皇贈与税を納めないといけないの?」、「三種の神器っていくらになるんだろう?贈与税も高そう…」と思われた方ご安心ください。

 

結論から言うと、贈与税は課されません!

 

相続税法をいくらさがしても根拠となる規定はありません。

根拠は平成31年4月30日に施行された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」という法律に規定されています。

 

第七条 第二条の規定により皇位の継承があった場合において皇室経済法第七条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さない。
2 前項の規定により贈与税を課さないこととされた物については、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第十九条第一項の規定は、適用しない。

 

今回、天皇陛下生前退位されるという事で特例として施行されたこの法律の第七条において、しっかりと贈与税を課さないと規定されているわけなんですね~
 
ちなみに第二項に書いてある相続税法第十九条第一項の規定とは「生前贈与加算」といわれる規定です。
これは相続の3年以内にあった贈与については、相続税の計算に含めますよっていう規定です。
つまり、すでに贈与された財産についても相続財産に足し戻して、相続税が課されるわけです。
そうなると、すでに継承されている「三種の神器」については「相続税の非課税財産」の規定の対象外となると考えられますので、相続税が課されないようにこちらの法律により、「生前贈与加算」されないようにしているんですね。
 

おわりに

私が相続税の勉強をしているときに驚いたのは、「相続税の非課税財産」の規定に、「三種の神器」が書かれていたことです。

これを裏を返すと天皇にも原則的には相続税が課税されるという事。

そんな衝撃を天皇陛下の儀式とともに思い出したので、記事として書いてみました!

 

平成最後の税理士試験に合格し、おそらく令和最初の税理士登録をする私にとっては、新しい時代の幕開けを嬉しく思います。

この新しい時代になにか新しいことに挑戦できるようにがんばっていきます!

 

それでは、読んでいただきありがとうございました!

GW後半戦楽しみましょう!

政治と税金

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みなさん、こんにちは。

新年から4か月以上更新してなかったのですが、ぼちぼちマイペースに再開していきます(笑)

 

さて、本日は統一地方選挙後半戦が行われる日ですね。

自分自身、政治にはあまり興味がないというのが、本当の所ですが、そうはいっていられないのも事実。

普段仕事として触れている「税金」が一体何のためにあるのかとをいうの再考してみた。

 

そもそも「税金」ってなんのためにあるのでしょうか。

それは、国の運営のためですね。

国が行う事業(=公共サービス)の運営にも、もちろんお金がかかります。

その運営費用は税金による収入(=税収)でまかなわれます。

 

そう考えると、「税金」というのは国から見ると資金調達になるわけですね。

企業や個人が稼いだお金の一部が税金となり、国の収入となる。

そして、それが公共サービスに使われ、企業や個人に還元される。

 

自分が収めている税金についてもわからない、しかも、その使い道にも関心がない。

そんな人がほとんどですよね。

 

政治と税金は支出と収入です。

税金の使い道を間接的に納税者が決められるのが選挙です。

 

普段はミクロな視点だけで税金に接していたけれども、マクロな視点でも考えないといけないなーと。

たぶん、支出である公共サービスを決めないと、「誰から」、「いくら」とるのかという税法の在り方がブレる気がする。

 

あるべき税制を考えるためにも、その税金の使い方も自分で考えて、その考えが反映されるようにちゃんと選挙に行って、政治に反映させないといけないですね。

 

ということで、今日は選挙に行ってきまーす(笑)

 

<編集後記>

とりあえずブログを更新する習慣を身に付けるために、内容のハードルを下げて更新していきます。

長いツイッターみたいな(笑)

あけましておめでとうございます。

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はじめに

みんさん、こんばんは。

 

そして、あけましておめでとうございます。

早いものでもう年を越してしまいましたね…

なんとなく、1月1日にブログを更新しておきたかったので、雑ですがつらつらと書いていきます。

今回は、2018年を少し振り返って2019年の抱負を語っていきたいなと思います。

 

2018年の振り返り

2018年は平成最後の年となりましたね。

さて、2018年を振り返ってやはり一番大きい出来事といえば、平成最後の税理士試験合格!」でしょう。

2017年の合格発表で法人・消費に合格してリーチになってから「絶対次で終わらせるぞ!」という意気込みでやってきました。

2017年の税理士試験が終わった9月から相続税の勉強をコツコツ続けてきました。

試験前には仕事が忙しくなって試験休暇をあまりとることはできなかったけれども、それまでコツコツとやってきた貯金でなんとか本試験で手ごたえを感じる出来で終わらせることができました。

そして、昨年12月14日の合格発表。

嬉しいよりもホッとする気持ちが大きかったです。

 

mst94.hatenablog.com

 

2014年からはじめた税理士試験も2018年で終了です。

平成最後の年に気持ちよく終わることができたのは達成感がありますね。

 

ところで振り返ってみると、2017年から働いてはいるのに具体的な目標が「税理士試験合格」くらいだったことに気づきました。

やはり、資格試験というのはゴールが見えているから目標にしやすいですね。

しかし、その反面、資格試験合格以外の目標の存在が見えにくくなりがちです。

そして、税理士試験も終わった今、目標がなくなったような気がして立ち止まりそうになります。

そもそも、大きな夢やエピソードがあって税理士を目指したわけではありません。

よく「試験勉強がつらくなった時は税理士になってなにがしたか、なんで目指そうと思ったかを思い出せ!」とか言われます。

でも、そんな気持ちがある人ばっかりではないと思います。

なんとなくで始めて、なんとなくで会社に入った人。

そんは人が大半なのではないでしょうか。

僕もそんな大半のうちの一人なのでしょう。

 

しかし、最近その何となくで始めて、なんとなくで入った会社で学ぶことがたくさんあります。

困っているお客さんや同僚が社会にはいて、自分が勉強したことを使って困っている人を助けられる、そんな仕事の素晴らしさを感じています。

 

税理士試験はゴールではなく、スタートで、税理士資格は自分そのものではなく、武器の一つなんだと強く感じています。

 

話はそれましたが、やっとスタート地点に立てたということで2018年は自分の人生の初めの第一歩といえる年だったと思います。

 

2019年の抱負

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2019年の抱負は正直まだ決まってないです(笑)

この年末年始で2018年の棚卸をして具体的な数値目標・行動レベルまで決めるつもりです。

ただ、なんとなく方向性は決まっていて、「人に価値を与えられるように」ということを意識していきたいと思っています。

今までの試験勉強や研修などのインプットは本質的には誰かに価値を与えるものではないです。

それは、アウトプットの前準備なだけで、インプットがゴールになることはありません。

そういう意味でも、インプットのフェーズは終わって、次はアウトプットのフェーズに入るころだと思っています。

実務でも徐々に担当を持たせてもらえて、アウトプットをする機会は増えてきます。

そこで、具体的になにをどうして価値を与えられるかはまだわかりませんが、それは常に考えておく必要があります。

「人として正しく、そして、自分が社会で働いていることで誰かにプラスの影響を与えられる。」そんな大人になりたいと思う2019年元旦でございます。

 

おわりに

いやー、また、つらつらと書いてしましました…

元旦にブログ更新したかっただけなので、大目に見てやってください(笑)

いつもつたないブログで恐縮なのですが、少しでも見てくださる方がいる限り、2019年もブログを継続していきたいと思います。

いろんな方に見ていただけるよう内容やテーマも考えつつ更新していきたいです。

最後になりましたが、昨年中は誠にありがとうございました。

今年もよろしくお願いいたします。

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

住宅ローン減税〜よくあるミス〜

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みなさん、こんにちは。
今日も一を足してく!

以前、年末調整の変更点について書きましたが、今回は住宅ローン減税についてです。

12月11日の日経新聞夕刊にこんな記事が。

住宅ローン減税でミス 国税庁、控除しすぎ1万4500人: 日本経済新聞

記事の内容は、2013~16年の4年分の住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)などで、税金を控除しすぎていた人が最大約1万4500人いたとのこと。
今回は、「住宅ローン減税ってなんだっけ?」、「ミスはどういうことなの?」などなど、この記事をもとに解説しちゃいます!

住宅ローン減税って?

住宅ローン減税とは、正式には「住宅借入金等特別控除」というもので、住宅ローンをしてマイホームを購入した場合には、10年間は年末時点の住宅ローン残高の1%をその年の所得税額から控除できるという制度のことです。
イメージとしては住宅ローンの金利部分を所得税額から取り戻せるといったところでしょうか。
サラリーマンの方は年末調整で適用を受けることもできるので、マイホームをお持ちの方は身近に感じることができる税制ではないでしょうか。

上記の日経新聞の記事では、この住宅ローン減税の控除額が誤っていたケースが2つ、住宅ローン減税とは別件ですが、贈与税の非課税措置の適用が誤っていたケース1つの合計3つのケースで適用誤りがあったことを会計検査院が指摘しています。
会計検査院とは、独立した行政機関で国の収支なんかを検査するところです。
会計検査院は、国税庁の課税実務も検査しており、上記の指摘もその一環ということですね。

今回の指摘では、結果として所得税贈与税の支払いが少なかったということで追加で納付することになりますね。

それでは、個々のケースを見ていきましょう。

ケース① マイホームを購入するために親から資金の贈与を受けていた

マイホームを購入するために親から資金の贈与を受けていた場合には、一定金額までは贈与税がかからない特例があります。
この特例は、「住宅取得等資金の一括贈与非課税措置」と呼ばれたりします。
この特例を受けた場合には、住宅ローン減税の適用を受けることができる住宅ローンの金額が低くなってしまう可能性があります。
そもそも、住宅ローン減税の適用を受けることができる住宅ローンの金額は次のいずれか低い方の金額です。

1.年末の住宅ローンの残高
2.マイホームの購入費用

住宅取得等資金の一括贈与非課税措置の適用を受けた場合には、マイホームの購入費用からその適用を受けて非課税になった部分の金額を除きます。
つまり、マイホームの購入費用が低くなって、結果として、住宅ローン減税の適用を受けられる住宅ローンの金額が小さくなるということです。

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ケース② マイホームを売却して軽減税率や特別控除を受けていた

マイホームには、住宅ローン減税、住宅取得等資金の一括贈与非課税措置以外にも下記の特例があります。

1.マイホームを売った時の特別控除
2.マイホームを売った時の軽減税率

マイホームを売った時の特別控除は、譲渡所得から3,000万円控除できる特例です。
これにより、所得をかなり圧縮することができます。
また、マイホームを売った時の軽減税率は、通常15%の長期譲渡所得の税率が、10%になるという特例です。
これら2つの特例は併用することができます。

実は、マイホームに住んだ年の前後2年間にこれらの特例の適用を受けた場合には、住宅ローン減税は受けることができないのです!
それにもかかわらず、住宅ローン減税の適用を受けていたというのが、ケース②です。

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ケース③ ケース①の特例がそもそも受けられなかった

ケース③は、住宅ローン減税とは関係ないですが、ケース①の住宅取得等資金の一括贈与非課税措置の適用を受けられないのに、誤って受けていたケースです。
住宅取得等資金の一括贈与非課税措置は資金の贈与を受ける人はいくつか要件を満たさないといけません。
そのうち、「合計所得金額が2,000万円以下であること」という要件があります。
つまり、高所得者はこの特例の適用を受けることができません。
それなのに、特例の適用を受けていたことが誤りだったということです。

おわりに

今回は日経新聞の記事を解説してみました。
納税者に有利な税制はいろいろと制限があります。
この制限を正しく理解することが適正な課税につながります。
また、自分にも使えそうな特例がないかアンテナを張っておくことも大事です。
ニュースなどをもとに少しずつ勉強してみてはいかがでしょうか。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

まだ間に合う!ふるさと納税。

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みなさん、こんにちは。

今日も一を足していきます。

 

いよいよ12月も中旬に差し掛かってきて、あっという間に新年ですね。

さて、本日は「ふるさと納税」についてです。

 

 

はじめに

みなさん、ふるさと納税について理解されていますでしょうか?

「2,000円の自己負担で返礼品がもらえる!」、「たしか限度額があったような…」

意外と知っているようで知らないふるさと納税

せっかく、利用するならその仕組みを理解してみませんか?

また、30年分のふるさと納税もまだ間に合うので是非ご活用してみてください!

詳しい手続きやおすすめの納税先もご紹介します。

ふるさと納税制度について、かなり詳しく、また条文に沿った形で詳しく解説しますが、「そんなのどうでもいいよ!」って方は手続きおすすめの納税先まで飛んでいただいて結構です(笑)

ふるさと納税とは?

概要

 ふるさと納税は「納税」という言葉が使われていますが、実際には所得税の所得控除である「寄附金控除」個人住民税の税額控除である「寄附金税額控除」になります。

 さらに個人住民税は道府県民税市町村民税に分かれています。しかし、基本的には制度自体は同じなので、まとめて10%の税率として説明します。

 ちなみに所得控除税額控除は、はっきりと区別して理解しなければいけません。

 所得税・住民税は、基本的には所得×税率=税金という算式で計算されます。

 どこから控除するかによって、その効果が変わってくるためです。

所得税の寄附金控除

 所得税の寄附金控除は、寄付をしたら一定金額を総所得金額等*1から控除できる制度です。

 この寄附金控除を受けることができる寄付は「特定寄附金」といって、範囲が限定されています。ふるさと納税地方公共団体に対する寄附金であるため、寄附金控除の適用を受けられるというわけです。

 寄附金控除の金額は次の算式によって決まります。

 

 次のいずれか低い金額-2,000円=寄附金控除額

①その年に支出した特定寄附金の額の合計額
②その年の総所得金額等の40%相当額f:id:mst94:20181215182455j:plain

住民税の寄附金税額控除

 住民税の寄附金税額控除は、寄付をしたら一定金額を住民税から控除できる制度です。

 所得税と同様に、都道府県、市町村又は特別区に対する寄附金は、寄附金税額控除の対象となります。

 また、都道府県、市町村又は特別区に対する寄附の場合の控除額は、2階建てとなっています。これが通常の控除額特例控除額です。通常の控除額と特例控除額を足した金額が控除できる金額となります。

 

寄附金税額控除額=通常の控除額+特例控除額

 

通常の控除額の金額は次の算式によって決まります。

 

【通常の控除額】

 (次のいずれか低い金額-2,000円)×10%=通常の控除額

①その年に支出した寄附金の額の合計額
②その年の総所得金額等の30%相当額

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 所得税の算式とほぼ同じですが、住民税の寄附金税額控除は所得控除ではなく、税額控除なので、最後に住民税の税率10%をかけて、税金の金額としています。

 

【特例控除額】

次のいずれか低い金額

①(寄附金の額の合計額-2,000円)×(100%-住民税の税率(10%)-所得税の限界税率※)

※5%~45%

②住民税×20%

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①を見ると、住民税の通常の控除額と所得税の寄附金控除額でも控除できなかった金額となっているのがわかります。

ちなみに、所得税の限界税率とは、その年の所得税の計算に使われた税率の一番高い税率のことです。所得税累進課税と言って税率が所得に応じて階段状に上がっていきます。

 また、住民税の寄附金税額控除は寄付をした翌年の住民税から控除されて、控除後の金額が徴収される形となります。

 例えば、平成30年に寄付をして住民税の寄附金税額控除を受けた場合には、平成31年の住民税が減額され、平成31年中に特別徴収される住民税が少なくなるということです。

手続き

原則

 所得税の寄附金控除も住民税の寄附金税額控除も原則は確定申告をする必要があります。年末調整を行うことで確定申告が不要となるサラリーマンの方でも、所得税の寄附金控除と住民税の寄附金税額控除の適用を受けようとするなら確定申告をしなければいけません。

 所得税も住民税も暦年課税といって1月1日から12月31日までの暦年で区切って課税するという方式をとっています。そのため、12月31日までに支払った寄付については控除を受けることができます!つまり、平成30年分のふるさと納税平成30年12月31日までに支払えば間に合います!

 また、確定申告する際は寄附金の受領書を添付するか、電子申告する場合はその内容を記載する必要があります。

 しかし、一定の条件を満たせば確定申告不要で住民税の寄附金税額控除の適用を受けられるワンストップ特例制度が平成27年度税制改正により創設されました!

 確定申告不要のサラリーマンの方はこちらのワンストップ特例制度を受けるのが手軽のため、オススメです!

ワンストップ特例制度

 前述のワンストップ特例制度について詳しくお伝えします。

 ワンストップ特例制度とは、一定の条件を満たせば、確定申告をしなくても所得税額分も住民税から控除できるという制度です。

 

 一定の条件とは次の条件です。

  1. 所得税の確定申告をする必要がないこと
  2. 寄附する地方公共団体が5以下であること
  3. 申告特例申請書を提出すること

 1の所得税の確定申告をする必要がない方は、主に年末調整のみで完結する給与所得が2,000万円以下のサラリーマンなどです。

 2は、同じ地方公共団体に2回以上寄付しても、1か所としてカウントできます。

 3は、寄付をした翌年の1月10日までに提出する必要があります。

 また、マイナンバーカードも併せて提出する必要があります。

 申告特例申請書は1回の寄付につき1枚提出する必要があるため、あまりに寄付の回数が多い場合には確定申告のほうが楽かもしれませんね(笑)

 

ワンストップ特例制度の適用を受けることができる場合には、住民税の寄附金税額控除のうち、特例控除額の金額が次の金額(申告特例控除額)に変更されます。

 

特例控除額÷(100%-住民税の税率(10%)-所得税の限界税率)×所得税の限界税率

所得税の寄附金控除により減額される所得税

限度額は?

 所得税の寄附金控除と住民税の寄附金税額控除をかなり細かく見てきました。

 「結局、自己負担2,000円になる限度額っていくらなの?」って感じですよね。

 それだけ、税金の計算はややこしく複雑なものとなってしまっています。

 

 結論から言うと、限度額は住民税の2割くらいと覚えていただければ結構です!

 

 今まで控除額を見ていきましたけれども、正直言って限度額を計算することは、自分の所得税と住民税の確定申告をするくらいの労力がかかります。

 たいていの場合ですと、住民税の寄附金税額控除のうち特例控除額がボトルネックとなるので、住民税の2割くらいが目安となります。

 また、この限度額を超えたところで超えた部分の寄附金の金額だけ追加で自己負担となる程度の影響しかありません。

 あまり限度額を気にしすぎなくても問題ないです。

 

 最近では目安となるシミュレーションもあるので活用してみてください!

www.furusato-tax.jp

 

 覚えておいていただきたいのは、税金の計算は思った以上に複雑だということです。

 思い込みで計算ミスしないようにしっかり調べましょう。

 

 

おすすめの納税先

 実は平成31年税制改正大綱により、平成31年6月1日以後のふるさと納税については、返礼品の返礼割合が3割を超えるものは住民税の寄附金税額控除(特例控除)の適用を受けることができなくなります。

  今のうちに高価な返礼品をもらえる自治体に寄付しましょう!

 

のどぐろって自分ではなかなか買わないのでオススメです!
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1600gの黒毛和牛なんて見たことないですね(笑)

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それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

*1:「総所得金額等」とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。