一を足していく。

AIの影響で将来なくなる仕事だと言われている税理士。そんな税理士の魅力発信と税金への理解を深めていただけるように今日も一を足していきます!

住宅ローン減税〜よくあるミス〜

f:id:mst94:20181222184552p:plain

みなさん、こんにちは。
今日も一を足してく!

以前、年末調整の変更点について書きましたが、今回は住宅ローン減税についてです。

12月11日の日経新聞夕刊にこんな記事が。

住宅ローン減税でミス 国税庁、控除しすぎ1万4500人: 日本経済新聞

記事の内容は、2013~16年の4年分の住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)などで、税金を控除しすぎていた人が最大約1万4500人いたとのこと。
今回は、「住宅ローン減税ってなんだっけ?」、「ミスはどういうことなの?」などなど、この記事をもとに解説しちゃいます!

住宅ローン減税って?

住宅ローン減税とは、正式には「住宅借入金等特別控除」というもので、住宅ローンをしてマイホームを購入した場合には、10年間は年末時点の住宅ローン残高の1%をその年の所得税額から控除できるという制度のことです。
イメージとしては住宅ローンの金利部分を所得税額から取り戻せるといったところでしょうか。
サラリーマンの方は年末調整で適用を受けることもできるので、マイホームをお持ちの方は身近に感じることができる税制ではないでしょうか。

上記の日経新聞の記事では、この住宅ローン減税の控除額が誤っていたケースが2つ、住宅ローン減税とは別件ですが、贈与税の非課税措置の適用が誤っていたケース1つの合計3つのケースで適用誤りがあったことを会計検査院が指摘しています。
会計検査院とは、独立した行政機関で国の収支なんかを検査するところです。
会計検査院は、国税庁の課税実務も検査しており、上記の指摘もその一環ということですね。

今回の指摘では、結果として所得税贈与税の支払いが少なかったということで追加で納付することになりますね。

それでは、個々のケースを見ていきましょう。

ケース① マイホームを購入するために親から資金の贈与を受けていた

マイホームを購入するために親から資金の贈与を受けていた場合には、一定金額までは贈与税がかからない特例があります。
この特例は、「住宅取得等資金の一括贈与非課税措置」と呼ばれたりします。
この特例を受けた場合には、住宅ローン減税の適用を受けることができる住宅ローンの金額が低くなってしまう可能性があります。
そもそも、住宅ローン減税の適用を受けることができる住宅ローンの金額は次のいずれか低い方の金額です。

1.年末の住宅ローンの残高
2.マイホームの購入費用

住宅取得等資金の一括贈与非課税措置の適用を受けた場合には、マイホームの購入費用からその適用を受けて非課税になった部分の金額を除きます。
つまり、マイホームの購入費用が低くなって、結果として、住宅ローン減税の適用を受けられる住宅ローンの金額が小さくなるということです。

f:id:mst94:20181222192147j:plain

ケース② マイホームを売却して軽減税率や特別控除を受けていた

マイホームには、住宅ローン減税、住宅取得等資金の一括贈与非課税措置以外にも下記の特例があります。

1.マイホームを売った時の特別控除
2.マイホームを売った時の軽減税率

マイホームを売った時の特別控除は、譲渡所得から3,000万円控除できる特例です。
これにより、所得をかなり圧縮することができます。
また、マイホームを売った時の軽減税率は、通常15%の長期譲渡所得の税率が、10%になるという特例です。
これら2つの特例は併用することができます。

実は、マイホームに住んだ年の前後2年間にこれらの特例の適用を受けた場合には、住宅ローン減税は受けることができないのです!
それにもかかわらず、住宅ローン減税の適用を受けていたというのが、ケース②です。

f:id:mst94:20181222192206j:plain

ケース③ ケース①の特例がそもそも受けられなかった

ケース③は、住宅ローン減税とは関係ないですが、ケース①の住宅取得等資金の一括贈与非課税措置の適用を受けられないのに、誤って受けていたケースです。
住宅取得等資金の一括贈与非課税措置は資金の贈与を受ける人はいくつか要件を満たさないといけません。
そのうち、「合計所得金額が2,000万円以下であること」という要件があります。
つまり、高所得者はこの特例の適用を受けることができません。
それなのに、特例の適用を受けていたことが誤りだったということです。

おわりに

今回は日経新聞の記事を解説してみました。
納税者に有利な税制はいろいろと制限があります。
この制限を正しく理解することが適正な課税につながります。
また、自分にも使えそうな特例がないかアンテナを張っておくことも大事です。
ニュースなどをもとに少しずつ勉強してみてはいかがでしょうか。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。